かずまこを「純水アドレッセンス」

先生と生徒の、大事に想うがゆえの不器用な恋愛物語です。本編を読み終わったあとの高揚感といったらもう。




退屈で冷めた毎日を繰り返している保健の先生・松本律子と、保健室に足しげく通ういつでもまっすぐな女子高生・奥村ななお。年齢差、性別、先生と生徒、すべてが障害でしかない2人の関係。想い合っていてもすれ違う、そんな切ない恋愛模様を見事に描きあげています。



というか

百合+学校モノ+先生と生徒+プラトニック+ストレートにもの言う年下メガネ女子+素直になれない綺麗な年上のお姉さん


・・・・・・ちょっとピンポイントで趣味な部分を狙われてる気がしました。どういうことでしょうか。




2人が付き合い始める第1話からして、松本先生がちょっと大人の余裕を見せたりして素敵なのですが、2話目の

エロいわよ



確かめてみる?

ってもう、こんなの反則すぎます。大人のお姉さんは大好きです。



松本先生はそんな大人のお姉さんであり教師でもあるので、“生徒”であり、まだまだ将来があるななおに対しては、恋人同士なってからも節度を持った付き合い方をしています。悪く言えば少し距離を置いたお付き合いです。ななおを大事に想うあまりの行動で、それは痛いほどわかります。特に学校では(当然ながら)普通の保健の先生と生徒として接しています。これが学校を離れると急にベタベタしたりして、そういうのも好きですというかそういうのが好きです。職場じゃひた隠し。家に帰ると甘えん坊。ああ、素敵。

まだまだ高校生であるななおからしたら、そんな関係じゃ物足りないわけで、積極的に、まっすぐにアプローチをしてきます。それがかえって松本先生を心配させてしまうという悪循環に。お互い好きすぎてギクシャクしてしまう。両想いなのに切ないです。



そんなわけで、本編の最終話の展開は熱いものがありました。

(保健室に)行くから待ってろ。

というななおのメールから始まって、松本先生の感情が溢れるところでもう体が熱かったです。そして松本先生が涙を流しながらつぶやいたセリフで完全にノックアウト。もう切なすぎ。いい。良すぎます。はー。



基本的にキス以上はありません。この作品に関して言えばそれで正解でした。最後の最後まで一線は越えないわけですが、それがまた切なさを誘うわけで。というか

触りたいわ

といって足を絡めて抱きしめるシーンがあるんですが、それで十分です。ただのセックス描写よりも官能的です。別にやましい気持ちがないわけではなく妄想は止まないんですが、大事に思うがゆえに我慢する、というのが切なさをより際立たせてくれます。

そんなわけで書き下ろしの後日談は1コマ1コマ、すべてのエピソードが最高でした。あーー・・・キュン死にしそう・・・。




本編以外でもクラスメイトのお話が2編入っていて、そちらもいい感じでした。全体的に白いコマが多いですが、それがまた私好みといいますか、白いコマのよさがわかるようになっていてよかったです。ちなみに本誌で前日談が載っていました。次回作も期待するとともに、それも単行本収録されないかな、と願います。



純水アドレッセンス (IDコミックス 百合姫コミックス)

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