鬼頭莫宏「ぼくらの」(10)

最初読んだときは、ただただ叫びたくなりました。2回目読んだときは脳が読むことを拒否をしてしまいました。読んでいてフワフワとして頭に入ってこない。考えがまとまらない。きちんと読めない。悲しいから?かわいそうだから?そんな単純なものではありません。認めたくないから?そうかもしれません。今回起こった悲劇を。



負けたら地球滅亡。戦うロボットを動かすのはパイロットの命。
パイロットは15人の少年少女―――。



残り2人となりました。第10巻です。




今巻は残された(残った)2人が、死んでいった子供達の家族や大事な人たちと出会い、死んでいった子供達を想い、「ぼくらの」仲間の一員になっていくお話でした。このタイトルコール。2人とも今まで一歩引いてるところがあったのですが、本当に本当の仲間になったんだなあ、と、感慨深いものが。

残された家族と向き合う。そういう重いテーマではありますが、しばらく戦闘もなく、残った2人の日常風景などもみられて面白かったです。マイルスでも思ったんですが、「フフフ」と笑えるお話を作るのが、実は上手いと思ってます。「告白」のシーンとか。本当にニヤニヤものです。告白のシーンとか・・・・・・・・・・・・・・・・



いや、本当に“鬼頭莫宏”という作家に衝撃を受けました。今まで体験したことのない感情。悲しくて泣くわけじゃなく、かわいそうだからと同情するわけでもない。「強烈な事実」を無造作に置いておくこの残酷さ。この巻のラストシーンを見たときの感情を書き出す言葉が見当たりません。見たことも聞いたこともないです。


元々ウシロを主人公としておいてきたこともあって、8巻以降は特にウシロがメインで関わってるストーリー展開になっています。それがすべてウシロにとって残酷であるわけですが。それにしてもあまりに残酷すぎます。それゆえに、ウシロが今までの想いをどう受け止め戦っていくか。


それも楽しみですが、それとは別に引継ぎ戦のパイロットや、次のコエムシが誰なのか、というのも気になるところです。ウシロが戦ったら初期メンバーは誰も居ません。まさかまったく知らない人が引継ぎ戦をやれるとも思えませんし、今まで登場したキャラの誰かだとは思いますが、誰になるのかな、と。

佐々見さんはどちらかにはなって欲しいな、と思います。結構好きなキャラです。「当事者になれない当事者」というこの立場。最初コエムシ役が適任だと思ったんのですが、結構「自分が戦わないこと」について考えていたので、最後は矢面に立っても面白いかもしれません。でもやっぱり一番順当なところだとパイロットは現コエムシかとは思いますが。最後まで当事者になれない佐々見さんも悪くないです。


ただ、我らが鬼頭先生のことなので、敗北して地球崩壊エンドもありえると思ってます。だからこそ怖い。



次巻、恐らく最終巻でしょう。名作の完結を寂しくも思いながら、楽しみに待っています。




ぼくらの 10 (IKKI COMIX)

ぼくらの 10 (IKKI COMIX)