紺野キタ「日曜日に生まれた子供」

紺野キタ先生の久々のCRAFTでの新刊です。2ヶ月連続リリースは嬉しいです。

今回、作者さんが「還暦受け」を公言しているだけあって、年齢層は高めです。枯れ枯れ。基本的にBLばかりですが、2編ほど今は亡き百合姉妹で掲載されていた作品が載っています。掲載誌の通りこちらは百合です。BLコミックに百合作品が収録されるカオス具合・・・なんて素敵な1冊。



そんなわけでBLそっちのけでその百合作品2編の感想ですが、「ひみつの階段」や「Cotton」では醸しだしていた雰囲気そのままに、とても素敵な作品に仕上がっていました。目つきの悪い2人が並んだ姿は絵面的にも素敵です。もっとこちらの方面も描いて欲しいです。

ひみつの階段」で描いてきたお嬢様高校+寄宿舎の組み合わせをまたも拝めるとは。やっぱりこのおとぎ話のような雰囲気がとても好きです。何だか百合姉妹に収録された作品があと1本あって、そちらは未収録らしいですが、何故載ってないんでしょうか・・・。読みたい。



それから描き下ろしの「ねゆきの森」。収録作品「森の郵便配達人」の後日談なのですが、これ、繰り返して読んだらジワリジワリときました。BLですが、BをはずしてLoveそのものというか。

「森の郵便配達人」自体、人間以外が住む森に迷い込んだ小さな子供が、森の番人に拾われ、森での仕事を見つけながら生きていくというお話です。人間と森の住人たちの寿命は違うため、拾われた当初は子供だった人間も、周囲より先に老い始めてしまいます。それがすごく儚くて切ないです。周りは全然変わらないのに、自分だけ変わっていって、やがては先に死んでしまう。それでも拾ってくれてありがとう。というお話。紺野キタ先生の優しさが全面出た作品だと思います。



連載誌がWebスピカとCRAFTだけなので次のコミックスはいつになることか・・・。楽しみに待っています。



日曜日に生まれた子供 (ミリオンコミックス 37 CRAFT SERIES 27)

日曜日に生まれた子供 (ミリオンコミックス 37 CRAFT SERIES 27)